Novel
□sweet time
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「ごろーくん」
仕掛けの合図はいつもより高い声のトーンで吾郎くんの名前呼ぶ事。
「どうしたんだよ、そんな甘ーい声出して」
吾郎くんは知っているくせにわざと聞いてくる。
「ふふっ…何となくだよ。何となーく」
「何だよ、『吾郎くんが大好きだから甘えたいの』とかぐれぇ言えねぇのかなぁ〜寿くんは」
ニヤニヤと笑って僕の頬に手をあてる。
「やだぁ〜…吾郎くん僕に夢見過ぎ」
上目使いで彼を見つめる。
吾郎くんは嬉しそうに僕の腰を掴んで自分の方に抱き寄せる。
僕もされるがまま吾郎くんに身体を預ける。
2人の重みでベットがギシッと軋む。
「今日は嫌がらないんだな。いつもなら吾郎くん!とか言って怒るくせに」
「それは君がみんなの前で僕を抱き締めようとするからでしょ?それとも嫌がる僕の方がお好みかな?」
吾郎くんの首に腕を絡め唇が触れそうなくらい近くまで顔を寄せる。
「俺はどっちも好きだぜ。真っ赤になって照れる寿も積極的で色っぽい寿も」
吾郎くんはこつんと僕のおでこに自分のおでこを当てる。
「僕は聞き分けのいい吾郎くんの方が好きだなぁ」
「悪かったな、超我儘の自己中で」
「なんだ、自分でも気が付いてたんだ」
クスクスっと笑うと、あたぼーよっと訳の分からない事を言ってきた。