ユグドラシル

□ユグドラシル 11
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ドライアップ。

確かそんな言葉が有ったはずだ。
砂漠と言う不毛な大地で水が尽きれば人は容易く干上がる。
三日と持たず死んでしまうほど人の身体は脆弱だ。


見やった視界の先に何かが見えた。

遮るものの無い砂漠の強風に煽られた砂塵で霞む視界の先。

「どうやらここらしいですね。」


呟いたのはジェイド。
顔色一つ変えず、日差し避けの外套のフードを後ろへと落とす。

不毛の大地。

砂以外、存在しない砂漠で突如として現われたのは廃墟の群だった。



近付けばその規模が如何に大きいかが分かった。
散逸したかの様に辺りに建物の建築材料だったのだろう岩がごろころと点在している。

ザオ遺跡。

二千年前に天変地異によって滅んだ都市の遺跡。

恐らく今、目に見えているのは遺跡のほんの一角。
大半は膨大な砂漠の砂の下なのだろう。

そんな場所にアッシュは何の用が有るのだろうか。


ルークが向けた視線の先には度重なる風雨に浸食され廃墟となった遺跡に何が有るのかなんて分からない。

その中でもまだ原形を留めている建物の入口らしき場所へと向かう。

全てを砂に支配されたこの場所で何かイオンに関する手がかりを探さなければならない。


「風が有るせいか周囲に陸艦の痕跡が残っていませんね。」

「立ち去ったあとか、それともまだ居るのか…。」


ルークがその中を覗き込めば、そこには暗い闇が広がっていた。
外の明るさに慣れた視力では影に沈んだ内部の様子は良く分からない。

ぽっかりと奈落の底へと口を開けたかの様なその闇から吹きあける風は身体を冷やすには十分なほど冷たい。
中は気温が低いのだろう。
熱にやられた身体がぶるりと震える。


「とにかく、イオン様の手掛かりが有るかもなんだから行きましょう!」



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