ユグドラシル

□ユグドラシル9
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「皇帝ね懐刀と名高い大佐が名代としてるこられるとは…。
マルクトも本気と言うわけですね。」


笑みを消し、一瞬で真顔になりジェイドは頷く。


「国境の緊張状態がホド戦争開戦時より厳しい今、こちらとしても本気にならざるを得ません。」


その言葉にゴールドバーグも頷く。
軍人である彼等にはそれが嫌と言う程、理解出来ているのであろう。


「…では、ルーク様は、」



話題をこちらへと変えたゴールドバーグの言葉を手で征して遮断する。


「国王陛下への謁見、俺も立ち会わせて頂く。
国の大事、なにより取り次ぎを頼まれた以上、責任が有ります。」


ゴールドバーグが、ではと言って頷く。


「承知致しました。
では公爵への使いをセシル将軍に頼みましょう。」


セシルはそれに敬礼して応え、報告するべく足早に去って行く。

俺たちも国王陛下へと謁見するためにその港を後にした。




・・・・・




譜石の落下により発生したクレーターに作られた街であるバチカルの街並は階級層をそのまま具現化したかの様なものだった。

巨大な穴に聳え立つ塔の様に存在し外界からの侵入を阻む天然の要塞と言えるものだったが、下層部は空気が澱み立地が悪い。


そうなると自然と最下層部には低所得者が、上に上がるにつれて裕福な者、特権階級、最上階に王城と言う作りになっていた。


余りの高さに下層部からだと最上階周辺は白く霞み見えない。


天空客車と昇降機を乗り継ぎ最上階へと辿り着く。



そこは良く見知った場所でもあった。



一般層に開放されてはいなかったが、緑と水の溢れる庭園。


そして目の前にある荘厳な威圧感さえ感じさせる空を貫く灰色の尖塔。


他を圧倒する存在感。


バチカル城だった。



「このお城、すご〜い!」


アニスが呆然とした様に驚き見上げる。
他のメンバーからも同様の感嘆の声が聞かれる。


「…行くぞ。」


有事の際には敵を阻む巨大な大扉を抜け大広間へと入った。

俺が入って来た事に驚いた兵に陛下への面会を申し込む。


「国王陛下にマルクトよりの和平の使者を伴ってルーク・フォン・ファブレが帰還したと伝えてくれ。

至急、謁見を申し込みたいと…。」




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