ユグドラシル

□『運命』の廻る日
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その日が近付いて来るにつれて体調と気分は悪くなっていった。

運命をやり直しても俺の中に記憶は残っているわけで…。
無かった事にしてみても罪は遺り精神を苛む。

何日何年。

いくら時間が過ぎようとも忘れる事は許されない。

もしかしたらそれが俺にかせられた罰なのかもしれない。



いつもと変わらない日常。
時間。

教団の豪奢な教会でサフィールとシンクと他愛ない話しをしていた。



変わらない筈だったのに。





・・・・・





気付いた時には遅かった。
教団兵士の飛び交う怒声。


シンクとサフィールの驚愕のした声色。

眼を開けば高かった天井のステンドグラスは更に高く。

身体はやけに冷たく痛い。

思考は混濁する一方で何が起こったのか理解が出来ないでいた。


覗き込まれている事に気付いたのは暫く経ってようやく頭が回る様になってからで。

そして更に倒れた事に気付いたのは自室のベットに運び込まれてからだった。





「…38.0度です。
どうして体調が悪かったのを言わなかったのですか…?」

サフィールは恨みがましく体温計を睨み付ける。

自室に戻ってまずサフィールがした事は簡単な検査だった。


触診と血中音素を調べための採血。
あとは血圧と検温。

そしてその結果、平熱と言うには余りにも高すぎる体温。


「熱が有る実感は無かったんだ…。」



自覚症状が無かったと言えばサフィールが更に顔をしかめる。


「それでも何かしらの異常は有ったでしょう?
身体が怠いとか頭が痛いとか…。」



言われれば思い当たる節も有った事は有った。

だけどそれはこの時期珍しくなくて。
体調を崩すのには慣れてしまっていたため放置していた。


その結果がこの様だった。


「シンク、アッシュの様子を見ていて下さい。
ベットから決して出さない様に。」


そう言ってサフィールは詳しく検査をするため部屋から出て行ってしまった。
入り口の扉の所に居るシンクにしっかり釘をさす事も忘れない。





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