ユグドラシル

□ユグドラシル 6
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シンクに思いっきり怪訝そうな顔をされる

「そんな事してヴァンにば れたらどうするのさ!」

確かにあの人に気付かれたら非常にまずいだろう

容赦無く

それこそゴミを捨てる様に切り捨てられかねない

だが、だからと言って


「俺はね
 逃亡する兵まで殺す必要 は無いんじゃないかと考 えてるんだ

 俺達は常に誰かの大切な 人を相手にしている
 その事を忘れてはいけな いんだと思うから」


理想をいくら掲げても
矛盾は沢山有るだろう

そんな思いがあっても結局は犠牲は無くならない

敵にしろ自軍にしろ

刃を向けられれば
向け返す

殺される前に殺すしかないそれが現状だとしても

所詮エゴの塊だとしても


何もしないよりかはマシだと思うから


「ただ、言う事を聞くだけ の機械にはなりたくない から…」


結局のところ俺は俺の理念でしか動けないのだろう


シンクが半ば諦めた様に溜め息を付く


「分かったよ
 そこまで言うならもう止 めない
 自分のやりたいように好 きにすればいい」

だから僕も好きな様にさせてもらうから


傲然と言い放つ口調は自信に満ち溢れ
そして恐らく仮面に隠れて見えない瞳は決意に燃えているのだろう楽しそうに響いた


「じゃあ、行こうかシンク
 そろそろ時間だ 」



眼前に広がる平野を疾走する白銀に輝く巨大な装甲艦

大空を羽ばたく獣の助けを借りて俺達は高らかに舞い上がった



舞台は幕を開ける




さあ
最愛の紅に逢いに行こう?




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