SS

□悪夢
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自分の中にあった黒い感情
憎しみ
嫌悪
憎悪
侮蔑

その他諸々の負の感情

全ては一所に集約されていった

己の
《全てを奪った模造品》

憎しみと嫌悪の対象でしかなかったのに

憎む事で生きながらえてきた


それが

いつしか

愛情に変わるなんて


思いもしなかった



泣いていれば
胸が痛く

笑っていれば
こちらまで嬉しかった

誰か自分とは違う人間を見ていれば
苛々とした感情に支配された


まさに
青天の霹靂


夜半に降り出した雨はまだ止まず降り続く

まるで他から隔絶された世界のようだ

腕の中の温もりが寒さを感じたのか擦り寄って来る

こんな雨の日はどうしようも無いくらいに《ルーク》に呼ばれる。
回線は《ルーク》からは接続出来ないのに

彼は自分を呼ぶ

悪夢の中で

唯一つの
光りだとも言う様に…

「…アッシュ」

寝言で名前を呼ばれ
自然に頬が緩む

愛情が溢れ出す

どうしてこの存在を見捨てられよう

唯、打算無く
自分だけをを求められる

たとえ何を手に入れようとも満たされる事は決して無いだろう

満たされるのは

この世界で唯一人だけ


助けられているのは
一体どちらなのだろう


最愛の存在

胸にある思いのままに
その額に口付ける


そして自分は変わらず
彼の側に居よう

ルークが悪夢に囚われる事があれば



助け出せるように



 

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