不二受短編

□不埒(蔵不二)
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白石は学ラン姿だったから、ともすれば青学の生徒に紛れそうなものなのに、その容姿からかやけに目立っていた。
────あれ誰? かっこいい。
────誰だろう。不二くんと一緒にいるよ。
女子の目を一際惹く白石に、不二は少しヤキモキしながらも校内を突っ切る。
「さすが白石はモテるね」
玄関まで来たときに不二が言った。
「珍しいんやろ、俺が」
カラッと笑う白石は至って気にしていないようだったが、不二は白石を誰の目にも触れさせたくないという気持ちがあった。
「帰ろう、白石」
白石を急かして、学校を出る。
早くふたりきりになりたかった。


「お邪魔するで」
不二の家に入るとき、白石は礼儀正しくそう言った。
「僕しかいないから、寛いでいいよ」
新幹線で来てるから疲れてるよね? と不二が案じる。
「お風呂沸かすから、先に入って。その間に僕はごはん作っておくから」
言った不二に、ちょっと考える風だった白石は。
「なぁ、不二クン。不二クンって俺のこと好きやろ」
おもむろに言ってきた。
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