不二受長編

□★女王様と生徒会参謀
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忍足の肩をきつく掴む。
「…不二、あんま締めるなや」
忍足がうっすらと笑った。
部屋の温度が高いわけでもないのに、ふたりの肌には汗が伝っている。
「…く…ッ」
「ん…ッ」
不二が喉を擦れさせて果てるのと、忍足が不二の中で弾けるのはほぼ同時だった。
ゴムを使っているため、不二は忍足の肉棒の波打つ感触を体の奥でかすかに味わう。
「…溜まってたんじゃない?」
「今日、存分ヤらせてもらお思てな」
「…ばか」
不二の中から自身を抜いて、体重をかけてぴたりと重なってきた忍足の髪を手で梳いて、不二は小さく笑った。
「俺たち、体の相性ええなあ」
不二の肩口に顔を埋めた忍足が、彼の耳の中に囁き込む。
「常套文句?」
「あほか」
忍足は経験豊富なため、男を見る眼は厳しかった。
「…なあ、また来いや」
忍足が不二の頬に口付ける。
『また来いや』
それは、秘密の関係を持つことを意味していた。
「…忍足?」
不二が忍足の髪を撫でていた手を止める。
「なあ、不二」
もう一度不二の頬に唇を押し当てた忍足に、不二がしばらく天井を見上げて思案した。
「…いいよ。きみ、飽きるの早そうだし」
「どういう意味やねん」
笑った忍足に、不二も小さく笑う。
「どうもこうも」
言いかけて、あ、と不二は外を見た。
「ホワイトクリスマスだね」
忍足も、窓を見やる。
「おお。メリー・クリスマス」
「思い出したように言われても」
不二が笑った。
「まあまあ」
この日をクリスマスに指定したのは忍足である。
「ま、いいか。…メリー・クリスマス」
くすりと不二が笑った。
「なあ。キスしてええ?」
「別にいいけど」
忍足が、不二の唇に自分のそれを重ねる。
「なんでキスだけ聞くんだい?」
「俺、めったにキスはせえへんのや」
それは、忍足が不二を気に入った証拠。
「? ふうん」
不二は自分の髪をひとつ手で梳いて、艶めかしく笑みを浮かべた。
「……きみ、変わってるね」
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