不二受長編

□★1と2(塚不二)
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「オカマ」
手塚は不二を、軽蔑したような眼で見る。
「……」
押し倒した不二の顔を眺めて、眼鏡の奥から底冷えのするような眼で彼を射ぬく。
「おまえは俺のことを考えてひとりでヤッたりするのか?」
「…!」
不二の眼が見開かれる。
「ホモはこれだから」
しょうがないな、とうそぶく唇。
「…そのホモの尻を使ってるのは、きみじゃないのかい」
哀しげに薄く笑った不二が、声が震えないように気をつけながら返す。
ふっと手塚が笑った。
「俺はホモじゃない。おまえの尻の具合がいいから使っているだけだ」
おまえは俺が好きなんだろう、と誘うような優しい口調。
「…最低」
言い返す言葉がなく、不二は小さく呟いた。
「これが青学のbQ、天才・不二周助の本当の姿だ」
「こんなにあくどいきみが、青学bPの本当の姿でしょう」
ぴし、と不二の頬が鳴る。
「ほら、すぐに手が出る」
真っすぐに睨み返した不二と手塚の体は繋がっていた。
セックス中なのだ。
「おまえの体は悦い」
「それはどうも」
微苦笑をした不二がそっと眼を伏せる。
そうするとよけいに不二の美貌が際立った。
その顔を手塚がじっと見つめる。
「女みたいな色気だけはあるんだな」
「意地悪ばかり言うね」
不二をオカマだのホモだのと言って馬鹿にしては、彼の反応を見て面白がっている。
手塚という男はそういう男だ。
「…この跡、だれがつけた?」
手塚はふと、不二の首筋に残る紅い花を睨んだ。
「ふふ。知りたい?」
「俺の他にも男がいるのか? だれでもくわえ込むのか。まったくとんでもないカマ野郎だな」
同じところに噛み付いて、手塚は強くそこを吸う。
まるで、自分のつけた証のほうが強いと主張するように。
「痛…なに」
抗議する不二の声などおかまいなしに、そこここに印をつけていく。
ベッドでの手塚は、時折ひどく狂暴になる。
「おまえは俺のことが好きなんだろう。なぜ他の奴と寝る」
手塚はなじる口調になるのを止められない。
「…きみに傷つけられた傷を癒してもらってるのさ」
「そんなこと、俺は許していないぞ」
「きみはぼくの彼氏じゃないんだから、そんなこと言う権利――」
手塚が不二の唇に噛み付いた。
「んぅ…」
濃厚な口付けが交わされる。
「…どうしたの」
「煩い口だ」
「だけど本当のことでしょう」
たしかにふたりは体だけの関係だ。
手塚に想いを寄せている不二が、気紛れな手塚のセックスフレンドになった。
「ぼくが惚れてたのは堅物なきみだ」
「こんなことをされても、まだ惚れているだろう」
否定できないのが不二は悔しい。
「とにかくその男とは切れろ」
「きみにそんなこと言われる筋合いはない」
「おまえは俺だけ見ていればいい」
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