不二受長編

□★恋物語(跡不二)SS
1ページ/7ページ

●越前ひとりH編●





 

「…あんなとこでヤるなよ」


ぼそりとリョーマが呟いた。
自宅の風呂場である。
あの後。部活が終わった後で、リョーマは改めて携帯を視聴覚室に取りに行った。
今は帰ってきて熱いシャワーを浴びているところだ。
不二は、リョーマの憧れの先輩だった。
慕っていた格好良い先輩のしどけない乱れ姿を見て、リョーマは少なからず動揺していた。
不二を膝の上に乗せて貫いていたのは生徒会長である跡部景吾だ。
不遜な眼で、リョーマを眺めていた。
そう。不二とセックスしていたのは、あの男なのだ。
「…不二先輩」
リョーマは知らずその名を呟いた。
自分の好きな先輩が、あんな男と。
あんな遊び人と。
「……」
壁に手を突いて、しばらくリョーマはシャワーに打たれていた。
リョーマは不二の艶姿を思い出す。
はだけられた制服。
下半身になにも着けていない、晒された綺麗な尻。
男の肉棒が突っ込まれた、壊れそうなほど華奢な尻。
「……」
リョーマの下半身がズクンと反応した。
思わず、濡れた髪を掻き上げる。


リョーマは下半身を見下ろすと、うっそりと顔をしかめてソレに指を絡めた。

いささか乱暴な手つきで、リョーマは肉棒を扱く。
不二の媚態に反応してしまった自分に、わずかな自己嫌悪。
それにしても、なんというクリスマス・イヴだろう。
今頃あの恋人たちは……。
リョーマの頭に浮かぶのは、男の情欲に抱かれる不二の姿。
挿し込まれて、突き上げられて、嫌というほどさんざん啼かされて。
官能に歪む不二の貌。
啜り泣く、切なげに擦れた声。
不二はもっととねだるのだろうか。
体の奥深くに男をくわえ捕らえて、きつく締め付けて悦楽の先を欲しがるのだろうか。
不二の中の熱さ。
潤んだ眼が、今にもリョーマを誘うよう。
「………」
まさか、男で抜く日が来るとは思わなかった。
リョーマは濡れた眼でじっと虚空を見つめる。
自分に呆れた。
それでも、不二の体に欲情した事実は消せない。
「…欲しいな、あの人」
ぼそりと、リョーマが呟く。
そして、うっすらと相手の男に嫉妬の炎を燃やす。

打倒、跡部景吾。

限界が近いことを感じて、リョーマは眼を細めた。


『これが不二先輩の中だったら』


熱情に濡れた不二の貌が。
鮮烈に、リョーマの網膜に焼き付いた。





Fin.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ