不二受短編

□★他校生(跡不二)
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「きみのことが好きなんだ」
「アーン? オメー男だろ。気持ち悪い」

これがふたりの始まりだった。



「オメー青学の不二だろ。ホモだったのかよ」
「……」
うつむく不二に、なにを思ったのか跡部は。
「携帯出せよ。番号くらい聞いてやる」
携帯を差し出した。
「え…」
「なンだよ。持ってねーのか?」
「…ううん」
登録作業をしている跡部を不二がじっと見つめる。
「嘘…」
気持ち悪いと言われたものの、断るときに容赦ないと有名な跡部に携帯を聞いてもらえるなんてと不二が感動していると。
「用事があったらかけてやるよ」
にやりと跡部が笑んだ。


しばらく跡部は不二のことを忘れていた。
「昨日青学の不二とストリートテニスコートでやったで」
「青学の不二?」
「ああ。ごっつ強かったわ」
「まあな」
「今日もおらんかな」
跡部は不二の顔を思い出していた。
細い線。はかなげにうつむいた輪郭。
「……」
不二は俺のことが好きなんだぜ、という言葉を飲み込んで、跡部は携帯を開いた。
「――もしもし。俺だ。今日家に来い。……ああ? 場所が分からねぇ? オメー俺のことが好きなンだろ。そんなことも知らねぇのか。ったく…」
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