不二受短編
□★他校生(跡不二)3
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不二が綺麗になったのは、跡部のせいだと思う。
そう言ったのは、不二の親友の菊丸だった。
練習試合会場。
青学は今日、不動峰との練習試合を行うため、室外コートのある都内の会場に来ていた。
「不二、不二〜。あれ氷帝じゃん?」
昼の休憩を取るために集まっていた芝生の上で、菊丸がにやりと笑った。
菊丸が指した先には、氷帝レギュラー陣を中心とした氷帝の一団がいた。
その中でも一際存在感を放つ男がいた。
跡部景吾――氷帝の部長であり、不二の恋人である。
不二は彼の姿を認めると、わずかにはにかむように笑んだ。
視線が交錯し、強く絡み合う。
ひらひらと不二が手を振ると、向こうはわずかに頷いたようだった。
跡部から視線を離した不二の隣で、菊丸がにやにやと笑う。
「幸せそうな顔しちゃって」
「そうかな」
口元に手を当てた不二が、小さくうつむいた。
不二と跡部の関係を知っているのは、青学では菊丸だけである。
男同士ということもあり、不二は跡部との関係をあまりオープンにはしていなかった。
跡部の周りでは不二は「跡部の彼氏」として認められているが、そうさせることのできる跡部が『特別』なのである。
ふたりの関係は、不二の告白から始まった。
長い間跡部に片思いしていた不二が、意を決してその思いを告げたのだ。