不二受短編

□★グランドスラム(リョ不二)3
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【プロローグ〜クリスマス待降節・Web拍手お礼小説】


ニューヨーク。
「不二先輩。今日の晩ご飯なににします?」
クリスマス色の濃い街を、ふたりは歩いていた。
「うーん。どうしようか。越前、なに食べたい?」
「……そば」
考え込んだリョーマが、ぼそりと呟く。
「オーケー」
不二とリョーマはなじみの日本食糧店へ向かった。
「…あ、不二先輩。クリスマス、空いてましたっけ」
リョーマの言う『空いている』とは、テニスのプロ選手であるリョーマの試合のスケジュールのことだ。
不二は彼のコーチ兼マネージャーだった。
「空いてるよ。どうする?」
「うーん…。どっか行きたいっスか?」
今度は不二が考え込んだ。
「街に出るのもいいけど…このところ試合続きだから、家でゆっくりしようか?」
不二がリョーマの顔を見上げる。今ではリョーマのほうが身長が高くなっていた。
「俺は不二先輩がいれば、どこでもいいっスよ」
軽やかにリョーマが不二の唇に触れる。
周りはだれも気にしない。
ニューヨークはそういう街だった。
「…クリスマスの前に、きみの誕生日だしね。遠慮せずになんでもどうぞ」
くすりと不二が笑う。
「…なんでも?」
にやりとリョーマが不二の顔を覗き込んだ。
「……うん」
リョーマの言わんとしていることを察して、不二は苦笑する。
「色っぽいお誘いは嬉しいけど…お手柔らかに、ね」
「はーい」
ふたりは笑い合った。




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