不二受短編
□★俺様と俺(跡不二)3
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不二が跡部のものになると決まってからも、跡部の態度が変わることはなかった。
ときどき悪戯に口唇を掠め取っていくことはあったが、それ以上のことを不二にしようとはしなかった。
それだけ不二のことを大切にしているということが不二にも分かったから、不二はなんだかくすぐったい気がしていた。
「不二、今週の土曜空いてるか」
ある日、不二の部屋で寛いでいた跡部が不意に言った。
「今週は裕太が――」
跡部の顔を見て、不二は言いかけていた言葉を止めた。
「弟が?」
「…分かったよ。空けておく」
不二の答えに、跡部はにやりと笑った。
「んじゃ土曜、部活終わったら迎えに行くから」
「うん」
土曜日、跡部邸。夜のプール。
「こういうの見ると、やっぱりお坊ちゃまだったんだなって思うよ」
「アーン?」
月光に煌めく水面に波紋を作りながら、不二が笑う。
「自宅にプールが付いてるなんてね」
「ああ、まぁな」
跡部はなんでもないように返す。
「来いよ」
腕を広げた跡部に、不二が近づいた。
腕の中に納まった不二の腰に手を回して、跡部は身を屈めてキスをした。
不二は水で頬に張りついた髪をかきあげながら、跡部の手が腰を這うのを微笑って許した。
月夜の逢瀬は、秘めやかに。
一糸纏わぬ姿にされた不二が、プールの中に立っていた。