不二受短編2

□龍宮(跡不二)
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「だめ…跡部、…ッ」
すすり泣くような甘い声が、褥(しとね)を濡らす。
立ち込める、エキゾチックな香の香り。
まるで、本物の龍宮。
「だめ? もっと、だろ」
低い美声が、甘やかな口説き文句。
「んン、もっと…シて」
言わされた不二は、恍惚としている。

恋人の、甘い甘い腕の中。
シーツの海に溺れる。

いつしか絶え間ない蜜の音が走り、重なった汗や精液の類(たぐい)が甘くシーツを濡らす。
「…幸せ、だよ」
不二が、跡部の背中にすがりつく。
「俺もだ。不二」
深い口づけをむさぼり合い、愛を確かめるようにまた上の口でも下の口でも交接する。
「跡部…ぼく、達きすぎて…失神しそう」
もう許して、と乞うた不二に、跡部は。
「まだだ、不二。妊娠しちまうくらいやろうぜ」
意地悪く、笑いかけた。

終わりの見えない時間は。
龍宮の夜が果てるまでも、続くのだ。




完.




2015.7.7 17:56

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