不二受短編2

□匂い(跡不二)
2ページ/3ページ

 

情事の後、ぐったりと跡部の腕の中で息を吐く不二に、跡部は少し笑って囁いた。

「ラストノートを確かめてみ。トップノートとは違う匂いだ」

トップノートとは、香水の最初の香り。

ミドルノートとは、付けた後数時間の香り。

そして跡部が言ったのは、ようやく解放した不二の香りが『ラストノート』になっているという意味だ。

「…朝まで放してくれないんだから」

髪を掻き上げた不二が、ふと手首から香る匂いに頷いた。

「本当だ。ちょっと柔らかくなってるかもしれない」

言った不二に、跡部がさらに教える。

「香水も、肌の温度や環境によって、ひとりひとり匂い立ちが違う。今の俺たちは、限りなく近い匂いだ」

その事実に、不二は嬉しげに微笑んで跡部にキスをした。

「大好きだよ、跡部」


愛しい匂いに包まれて、ふたりはいつまでも戯れていた。



fin.


Next/COMMENT
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ