不二受短編2
□匂い(跡不二)
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情事の後、ぐったりと跡部の腕の中で息を吐く不二に、跡部は少し笑って囁いた。
「ラストノートを確かめてみ。トップノートとは違う匂いだ」
トップノートとは、香水の最初の香り。
ミドルノートとは、付けた後数時間の香り。
そして跡部が言ったのは、ようやく解放した不二の香りが『ラストノート』になっているという意味だ。
「…朝まで放してくれないんだから」
髪を掻き上げた不二が、ふと手首から香る匂いに頷いた。
「本当だ。ちょっと柔らかくなってるかもしれない」
言った不二に、跡部がさらに教える。
「香水も、肌の温度や環境によって、ひとりひとり匂い立ちが違う。今の俺たちは、限りなく近い匂いだ」
その事実に、不二は嬉しげに微笑んで跡部にキスをした。
「大好きだよ、跡部」
愛しい匂いに包まれて、ふたりはいつまでも戯れていた。
fin.
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