不二受短編2
□専属契約(蔵不二)
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本番当日。
前日から東京入りしていた白石は、不二を伴って現場に現れた。
「お、早いなぁおふたりさん」
すでにスタジオ入りしていた跡部と財前に、白石が爽やかに声をかける。
「…オーラ甘すぎやっちゅう話や」
不二の隣にいる白石にツッコんだ財前と、ニヤニヤを隠さない跡部だ。
「不二が専属契約したって話聞いたときは耳を疑ったが、相手があの白石と聞いて納得したぜ」
今ではすっかり名物の二人組を見て、跡部と財前は囃し立てる。
『愛の証明』
今日のディスクのサブタイトルだった。
財前に嫉妬する不二を宥めるために、白石が4人集まっての撮りを提案したことによる。
いわく『跡部に財前を抱かせて平気か』。
不二の中で狂う嫉妬には、理由がある。
今まで集めてきた何本もの白石のディスク。
そのほとんどが、財前との撮りだったからだ。
白石に自分が釣り合うのか自信がない。
不二はそんなジレンマを抱えていた。