不二受短編

□★他校生(跡不二)2
2ページ/9ページ

「…なんや、惚れとんのかいな。いつもならここで『好きにしろ』て言うやん」
「あいつが俺に惚れてンだよ」
むっつりと跡部は言い返したものの、胸に沸き上がったじわりと焦げるような痛みはなかなか取れない。
こんなことは初めてだった。
「――まさかマジか?」
「……忍足、テメー絶対手ぇ出すんじゃねぇぞ」
低く、跡部が言った。
「はは。冗談やて。けど、青学の不二なあ…」
忍足が不二の姿を思い浮べる。
ひとより頭一つ小さい、華奢な感じの綺麗な男だった。
手塚の傍にいるときはいつもにこやかな笑みを浮かべているが、跡部を待って氷帝の校門に立っているときは、どことなく所在なげなはかない顔をしている。
「不二ってよう笑うか?」
「なンかあればな」
忍足は考え込んだ。
「それ、手塚のほうがええんちゃう? 手塚の横におると、いつも笑っとるで」
「……緊張してンだろ」
「そら初々しいやつやな」
 

「また跡部?」
菊丸が机の上から、じぃっと不二を見上げる。
「うん」
携帯をいじりながら、不二が返事をした。
「幸せそうな顔しちゃって」
「そうかな」
不二が口元に手をやる。
「分かるもんね」
菊丸が眼をくるりと閃かせた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ