不二受短編
□★温泉旅行(忍不二)
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ざば、と豪快に飛沫が散る。股間を蹴り上げられた忍足は、見事に入った急所を押さえて声をつまらせた。
「なかなかキツい別嬪さんやなぁ。よぉチカンとか遭わへん?」
「慣れないけどね。──眼鏡外したら。それ見えてるの」
自分のせいやんと忍足が苦笑いだ。
「旅の恥は掻き捨てや。一晩の火遊びせぇへん?」
月と星と静寂と。
微かな風と蒸した空気。
「中入ろうよ。大理石の大浴場、好きなんだよね。滑るけど」
せめて綺麗な床の上でと、なにやら艶めく不二の貌。
「優しくしたる」
「ねえ忍足くん──。やっぱり最終的には、ぼくが女役をするの?」
「約束や不二。最高に気持ちよく、泣かしたるで」
「…んん…」
真夜中の大浴場で。誰もやって来ないことを祈りつつ。
押し倒された大理石の床の硬さも、次第に意識の彼方へ。
長い、長い前戯で優しくされた甘い肢体に、熱く充ちた男の情欲が押し当てられた。
「男泣かせやなあ」
色艶めく声を上げた不二の背を抱き直して、忍足が脈打つ己のたぎりを不二の『性器』にゆっくりと挿れた。
「息ぴったりやん。凄い具合ええなぁ俺ら」