トリブラ

□花とも生きとし
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桜散る華も貴方となら観てみたい


「ね、ね!観て下さい。桜ですよ」


綺麗ですね……
と観る貴女。


「そう、ですね」


私は、真っ赤に色付く貴方の髪色に添って、白く、桃色に咲く花を眺めていた。


「ほんときれい…。一本の木からこんな沢山の花を咲かせる事が出来るなんて、…凄い事ですよね」


なんて。誰でも言えるような事を、私は綺麗に笑って言う貴女が、君自身が今思い付けた言葉のように聞こえた。


「あ!…桜が……!」


ザアアアァァ…


と、風が花を掠め、梳るように吹いて満開だった花達がちらちらと落ちてくる。
所々が緑付いていて、少し悲しい気持ちになった君は、悲しそうな声を出して私の服をキュッと掴んでうつ向いた。


「もう少しだけ長くみたかったですね…」

「うん…」


貴女がそんな態度を取ると私まで切なくなってくる。小さな身体を抱き締めて、風で散ってしまった桜に目をやる。
長年、こうして桜を見てきた。それを今年は一人ではなく大切な人と眺める事が出来て、私は、とても幸せな気持ちになった。

でも、誰かと一緒に何かを観ると言うのは、その実感を一緒に味わえるという事。



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