トリブラ

□貴方を思う
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今薄暗く炎で照らされた私の表情は

どんなものなのだろう




目の前が濁った





「何で…」

「え?」


「何ではっきり言えるんですか!
綺麗って言うのはカテリーナ様や帝国のあの方々の事を言うんであって私は違います!」



わ、私何言ってるの?



しどろもどろになってる自分がイヤな感じがした


「……あの時もそうやって逃げたんでしか?」


「え?」


あの時っていつ


「私が教皇庁で…」

眼鏡をかけている神父様、光が反射して目が見えない。

けれど伺うように、ハッキリ相手側の表情が解るくらいの位置に体を捩らせ、

真っ直ぐ見つめてきた神父様は凛とした表情をしている。

沈黙を破いたのは私の方。あの時のことを思い出したからだ

「!!……違います。あれは」

「それに教皇庁の野外パーティの時にもエステルさん」


バッ


「違う!私はただっ」

立ち上がって言い返そうとしたものの言葉が出てこない。

ただ、何か吐き出そうとして息が上がって、前を向く事も出来ないでいる

生乾いた僧衣の裾を握って唇を噛んだ

これじゃあ私が神父様に嫉妬してるみたいだわ

こんな…こんな子供じみた事わかったら飽きられる筈

惨めな姿を晒して

自分の思い勝手に言い触らして

最低

「…っ」

少し後悔した



「……何も、貴女を苛めている訳ではないんですよ……?」


そう言って

この手を伸ばして

ああ 彼女に届いたら、貴女は手を握ってくれるだろうか

拒絶される?

でも、彼女を抱きしめてやりたい

でも、そんな勇気私にはあるんでしょうか

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