「わん。にゃん!」
「冗談ですよね。エステルさん?」
「にゃんにゃー」
「………」
突然彼女が猫になった。
【ワンにゃん物語】
「…な…なな……」
目が点のアベル。
きょ
「教授〜〜!」
エステルをぐわぁしと掴んで教授の元に走る。息切れしてても構わない。
周りからみれば変な境遇に置かれるかもしれない。けれどそんなのお構い無しに勢い良くその扉を叩いた。
ダンダンダン!
「教授開けてください!」
「?その声はアベル君かい?一体どうしたと言うんだい。」
カチャリと開いた扉から飛び出したかの様に転びそうになり、
「ぐべっ」
見事にスライディング。
抱えていたエステルはアベルの手元から離れ、ソファーの上にぽすんと落ちた。
メガネの縁が転んだ拍子に折れ曲がり「3ヶ月の給料分叩いたのにィ〜(泣)」と泣き崩れるアベルにエステルはきゃっきゃっと笑った。
「所で何のようで来たのかね。」
「…ハッ!教授エステルさんが」
「うきゅ?」
クラぁ…
「鼻を押さえてないで話したまえ」
教授は倒れかけたアベルに苦笑いしたが、状況が更に解らないとパイプの灰をコンコン、と落としアベルを急かす。アベルも鼻を押さえたまま話し始めた。
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