トリブラ

□尊いモノ、それは儚く…
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見えて、いい想いとは裏腹に暗い井戸の中を覗いて、落ちて行きそうな感覚まで体験しなくてはならない。



「私の場合はそう簡単なものじゃない」

「え?…神父様。」

「……ぇ?

あ、いえ独り言です」


「私は……ほんの一瞬でいい見えたらと思うんです。彼らの姿が見えたら…勇気貰って。………もう、誰も死んで欲しくない」

「私も…その事については同じです」


見える度に耳を塞いで拒絶したくなる。そんな想いをするのは避けたいけれど、この身でしてきた罰は避けられない。


どんな救いのある手を差し伸べられようとも……


辛い顔などしていない。ただ真っ直ぐ前を向いて、空を眺めていたのに、彼女はそっと私の手を握って話しだした。
その手のひらに小さくも温かみを感じる。


「信じて下さっていますか?」

「え…?」

その手を掴んだまま、彼女は彼女自身の胸に私の手をあてさせ、真っ直ぐこちらを見ている。


「ここには命がある。そして世界にはその数千倍の命が。その命の中に貴方を救いたいと、そして、信じている者達が居るんです。」


私もその一人なんですよ。


だから、あなたは貴方自身の道を行けばいい。
それがどんなに脆く、細い道でも

その後ろからちゃんと私達もついていきます。


「…だから」







自分をイラナイなんて、言わないで。



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