トリブラ
□愛してる、の先は
1ページ/9ページ
真っ白な雪の中
佇むのは電灯に写った二つの影
お互いに手を擦り合い、ずっとその時を待っていた
【愛してる、の先は】
「ズズズ……」
「ほらちゃんとかんで下さい」
一つの屋根の下で二人は暖炉にあたりながら会話を進めていた。
エステルは未だ鼻を垂らすアベルの前に、テッシュ箱をそのままおいた。
「全く神父様ったら任務中に風邪を引くなんて。」
「ずびばぜん……」
腰に付けていた手を下ろし、棚にしまっていたティーカップとお砂糖、紅茶を取りに行った。別に薄着でもない服をまとっていながらのこの身体の弱さ。
まぁ毎回のごとく、船に乗れば船酔いしたり、夏になれば貧血を起こしたり、大の大人が……と思うと呆れる。
「(まぁ今回は仕方がないわよ、ね…)」
任務を終えた後外に出たら吹雪で、とても薄着では凍えてしまいそうな天気だったのだ。
そんな時に上着を貸してくれたのが神父様な訳で…。自分が風邪を引かなかったのも神父様のお陰。だから、そんなに怒れない。
.