トリブラ
□ワンにゃん物語
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「鼻を押さえてないで話したまえ」
教授は倒れかけたアベルに苦笑いしたが、状況が更に解らないとパイプの灰をコンコン、と落としアベルを急かす。
アベルも鼻を押さえたまま話し始めた。
「今日はエステルさんに昨日出来た報告書を確認して貰おうと部屋に行ったら」
「…エステル君が猫になっていたのかね」
『はい。』と返事をするアベルに実の所信じがたい。普通人が猫などになるものなのか。パイプをひと吸いする。
「それと犬にも」
「っ!!?―な…っげほ…ぅ…ごほ、…」
そんなバカなことがあるのか!吸った煙がよからぬ所に入って咳をする。更なる真実を述べられて教授の思考が一時ショートしかけた。
落ち着いて息を整え再度パイプを加えたままエステルの元に歩み、確認する。
「……―」
確かに頭には猫の耳といえるモノが、僧衣服の下から犬のしっぽがあった。
……ん?まてよ
「アベル君、君ちょっと引っ張ってみてくれないかね」
「……は?…って!嫌ですよ!!そんな事教授自身が確かめて下さい!」
「私が?…ふ、おかしな事を言うね、私がレディにそんなこと出来ると思うかね」
『そう考えたら君しかいないのだよ。』と優雅にパイプを吹かす教授に心の中で(私に押しつけてるだけでは)と思った。
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