トリブラ
□拍手小説
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「雨…ですか」
雨は嫌いだ
憂鬱になる
薄雲に灰色の雲が混ざり背景まで暗くしてしまう
そんな空なのに目が離せない
離せないのではなく視界に入ってしまう
「……くそ」
「まーたしんみりしてるんですか」
らしくないですよ?
「…エステルさん」
部屋の入り口に立っていた彼女はずんずんと奥に入ってきて、私の隣にぽすんと座った。
「雨って」
見ているのは空
「雨って空が泣いてるんだと思うんです」
どうして?
と聞くと、『う〜ん』と見ていた空から自分を見て
「空だって泣きたいときがあると思うんです。だから私、そうゆうときは尚更【元気でいなきゃ】なって思うんです。」
確かに彼女は笑っていた。
まるで空の分まで笑顔でいるんだというくらい。
「…だから」
「神父様も笑って下さい。」
「………そうですね、」
アナタを見て元気になれそうだ。
そう、口には出さず、ただ頷いて顔を上げた。
「神父様見て下さい。空が晴れてきましたよ」
神父様が笑ったからですね。
そうか
私は笑うことが出来ていたのか
不思議に思う
それは
彼女のマホウ
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