WJ
□HappyBirthday俺
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五月五日。今日は真選組副長こと、土方十四郎の誕生日なのです。真選組の女中である私も僭越ながらお誕生日のプレゼントを、という次第です。
先ずは副長の事をよく知らなければですね。沖田隊長に先程『情報売りますぜ』と言われついていったら、隠していたお菓子をとられました。私が犯人じゃないと言ったのにタンコブが出来たじゃないですか。どうしてくれるんですか。
さてさて今はこんなこと考えている場合ではありません。早速、自分で調べた事をまとめなくてはです!
ショートカット
つり目&瞳孔開きっぱ
ベビースモーカー
次々と書いて
「まよーねー「なに書いてんだお前」
「あ。副長お早うございますー」
にへらっ顔で笑い、振り向くといつもの土方さんが立っていた。勿論手元のメモはばっちり隠したけどね。
「……ラブレターでも書いてんのか?」
「ラブレターですかーそれならワタシもうちょっと丁寧な字で書きますよ」
「ま。献立作りだったら止めろよ。この前はほんっと死にそうだったぞ、まさかカメムシが」
「あれは私じゃないです!副長だって分かってるじゃないですか」
以前作った手料理を持っていったらなんとすり替えてあり、大量のカメムシがどんぶりの中に入っていたことがあった。思い出すだけで、泣きが…
と、目の前に湯飲みを付きつけられる。
「ラブレター後回しで茶ァ入れろ」
「これはひじ…あ、でも秘密なんだっけ…
ひとまずしたらお茶入れますから、そこ置いてて下さい」
すぐに行きます。と念を押し、その背中を押す。このきっかけを逃すわけにはいきまいと、
「っと……お茶お茶っと…」
忘れそうになったお茶を用意して、いざ出発だ!!
「失礼します。」
「…………」
うわ、相変わらず部屋の中が暗い。前に気を遣って部屋の戸を全開にしたら逆に怒られた記憶がある。
土方さんの部屋はこれが普通なのだ。
「お茶持って来ました。」
「ん…」
顔も上げず、カリカリと書類を書いている土方さん。よく見ると回りには沢山のマヨネーズ。
先を越されたか、それとも自分で出したものか
「……何か用か」
「いえ、……ちょっとだけ用っていうか…」
「何だよこっちは忙しいんだ」
つーか早く言えと目線が飛ぶ。いあ…怖いからやめて下さい
ま忙しいのはわかっているけれど。ゴソゴソと袋の中からものを取り出す。
「HappyBirthday土方さんはいどーぞ」
「……」
あれ受け取ってくれない?というかため息つかれた
「おまえなめてんのか」
「舐めてませんよ?出来る事なら舐めたいですけど」
「いーや舐めなくていい……って、そっちのなめるじゃねえ。単に気持ち悪くなるだけだろそれ」
「ともかくバカにしてません。丹精込めて作ったんで、受け取って下さい」
にゃはっと笑ってみせる。……けど殴られた。痛い。タンコブにちょっと擦った。全く気に入らない事があるとすぐ手出すんですから。
「ドコの馬鹿が誕生日に鯉のぼり贈るやついるンだ!俺は子供じゃねーよ」
「えー五月五日にちなんで作ったんですよ、ほらこの一番上の鯉のぼりみて下さい。目の色は土方さんと同じ色にして後は薄めに」
「お前ってめんっどくせーなホント!!今から俺の言ったことよーく聞け。黙って聞け。横はさみすんなよ」
「えー」
「えーじゃねぇ、いいか
捨てろ。」
ガーーン!!?
「ひ、酷い…酷いです副長」
「のの字書くな。第一誕生日に鯉のぼり貰って喜ぶ大人は居ねえ」
「違いますよ…何もみてないじゃ、無いですか……っ」
「おーい泣くな。つーかうそ泣きすんな」
「うそ泣きしてません!マジ泣きです!!一番見て欲しいとこそこじゃなかったのにー」
馬鹿馬鹿副長の馬鹿!
「……っひっく…捨てる前にそこのヒモ左右に引っ張って下さい」
「…あ?」
「それただの鯉のぼりじゃないです」
そういうとしぶしぶゆうとおりに紐を引き、それを見てばつの悪い顔をする
「……袋」
「マヨネーズ袋入れです。後これマヨネーズです」
それだけ伝えてだっ!…と立ち入り走り出す。酷いや副長!!もう作ってあげたりしないんだから
すると
「その…悪かった。…気付かなくてよ」
「…サンキュ…」
だって!最初から言って下さい。その言葉!!
(機嫌直して茶入れてこい)
(えー…苛められてコキかわれたー)
(ちげェエエ!!…あー…なんだその、他の女中から手作りケーキ貰って……だから…お前の茶も淹れてこい)
(……土方さん…)
(やっぱり土方さんって優しいんですね)
今度はマヨネーズ型の枕に挑戦します!
HappyBirthday土方さん!