頂き物

□お兄さんがこんなに優しいわけがない
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 近づきながらもう一度呟く、さっき言えなかった言葉

『お兄さん、どうしてそんなに優しいんですか?』

 聞こえないような、小さな、とても小さな呟き
それでもお兄さんは『そりゃ………、桐乃の大事な友達だからな』と言った気がする

 嘘つき、そう思う。

 お兄さんは関係の無い人だって絶対に見捨てないだろう、見える全ての人たちをできるだけ、救おうとするだろう
 そんな性格だから次々に犠牲者がでるのだ、今日だってそうだ、現に私が犠牲者になっている

 いや、私は犠牲者になっていた、と言ったほうが良いだろう

 ただ単に今日、私は自覚しただけなんだ、この感情に。
 目の前にいるお兄さんを見て、改めて思う。

 反則だ、と。

 私はお兄さんにせめて仕返しをしようと近づき抱きついて耳元で名前を呼んだ

「京介さん」

 それから振り返ったお兄さんに私が何をしたかは、内緒。
 自覚した感情は何? それも内緒。

 ヒントは最初は『キ』で始まって『ス』で終わる、最後は『こ』で始まって『い』で終わる
そんな……、行為と感情。

 私はポカンとしているお兄さんに向かってこう言って帰った

「お兄さんが優しすぎるから悪いんですよ?、これからはちょっとは自重してくださいね?」

 帰り道、私は最後にお兄さんが見せた呆けた顔を思い浮かべて、皆よりちょっとリードかな?
なんて考えて笑いながら帰ったのだった。







おまけ

「はっ!……、なんだ?、ここはどこだったっけか
てか俺はこんな所に何の用があったんだ?、さっきまで遊んでたガキ共もいねぇし」

 そこで俺は頭を捻る、思い出されたのはあり得ない風景だった
 なんと!!、おらがあやせたんにキスされてるでねぇか

「いや、落ち着け?俺。そんな事があり得るはずがねぇだろ?、あのあやせだぞ?、俺に会った瞬間心底嫌そうな顔をするあやせだぞ?」

 そこで俺の中のミニ京介が会議を始めた

『そうだ!、あのあやせが俺にそんな事をする筈が無い!』

『そうだぞ!俺!、どうせ何時ものように俺が生んだ変な妄想に決まっている!!!』

『調子にのんなよ!?俺!!』

 自分なのに涙が出てくるのは何でだろう

 でも…………ふむ、やはりそうか、俺が生んだ妄想だったのか。
 悲しいけれどそれ以外……ありえねぇもんなぁ。
 結論、俺が生んだ妄想


 そんな事を京介が思っているとは露知らず、あやせはその頃日記に今日の事を嬉しそうに書いていたのはまた別のお話。







 
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