RE!短編
□ライオンは群れを成してこそ、
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「委員長!」
私は応接室の扉を開け、
椅子に座っている”彼”の元に駆け寄る。
そんな私に彼は呆れた視線を送り、
「…咬み殺されたいの?」
どこから出したのか、両手にトンファーを持ち、構えた。
私は額に汗をにじませながら、必死に笑顔をつくる。
「も、もうっ!
冗談に聞こえないですよ、委員長〜」
彼、雲雀恭弥は私たち風紀委員の委員長を務めている。
群れることが嫌いで、
群れてる者を見つけるとボコボコにする、ということで全校生徒から恐れられているのだ。
多分、雲雀さんにまともに近づけるのは風紀委員だけ。
ふと雲雀さんに目線を戻すと、彼はトンファーを構えたまま、
「冗談じゃないんだけど?」
肉食動物が獲物を捕まえるような目で私を睨んでいた。
…これはやばい。この目は本気だ。
背中に汗が伝う。
私は笑顔を崩さないまま後退りし、ドアまで辿り着いた。
雲雀さんがじっと私を見据えているのを感じながら、ドアノブに手をかけた。
「し、失礼しましたぁっ!!」
ドアを開け、部屋から出るまで1秒間。
ここにいたら確実に咬み殺される。
雲雀さんから逃げるため、私は全力疾走した。