最遊記(Not.D)

□携帯
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『三蔵へ
今日、綺麗な花が漸く咲いたので、写真と一緒に送ります
たまには、悟空と一緒に、遊びに来て下さいね』

「送信」


「ん、な〜にやってんの、八戒?」

悟浄が、扉を開きながら、何気なく尋ねると、八戒は笑顔で返した。

「今日、楽しみにしていた花が咲いたんで、三蔵に写真を送っていたんです」

聞こえるのは、どうでも良いかの様な、生ぬるい声。

「あ、そう言えば、僕、前々から不思議に思ってたんですけど、悟浄も、三蔵にメール送ったりするんですか?」

悟浄は、八戒の目の前の椅子をひくと、腰をおろした。

「まぁ、たま〜に」

その解答が珍しかったのか、八戒は、少し面白そうに笑った。
そして、そんな笑いを向けられた悟浄は、面白くなさそうに、少し顔を歪める。


「なによ、そんなに俺が三蔵ちゃんにメール送ると変か?」
「いえいえ。そうじゃなくて、ちょっと意外だったもので…」
「意外?」


悟浄は、懐から煙草を取り出すと、火をつけ、紫煙を吐き出した。
煙が、わずかに目の前の光景をかすめる。


「えぇ、ほら、悟浄って、メールとかする方に見られがちですけど。本当は、メールとか苦手じゃないですか?」
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