単発

□最期のワガママ
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自分の奥にある真っ赤な衝動。今まで抑え込んでいたそれはどんどん大きくなって、もう、何時爆発しても可笑しくないギリギリの綱渡り。その衝動…力を無理矢理に抑えている所為で私の体もボロボロで、力が暴走するのが先か、それとも私の体が持たなくなるのが先かって言う末期。


医療忍者故に私の体の限界を知ってそれでも私を止めないで居てくれた大切な仲間と、それを全部分かってて、私の存在の危険性を考えた上で私に最期を選ばせてくれた綱手のおばあちゃんには凄く感謝してる。



「イルカせんせ…」


この里で一番見渡しのいい場所でつぶやいた言葉は小さかったけれど、近くに居たイルカ先生には十分聞こえた様で、イルカ先生は私に視線を向ける。


「お願いがあります、」


本当はイルカ先生にこんなこと頼んじゃいけないって分かってる。きっと先生は私を傷にしてしまう。それでも、私は彼の手で終わらせて欲しかった。


「私を、殺してください。私が人間であるうちに」



私は今、笑えているかな?











先生は何も言わないでただ、悲しそうな顔をした。多分、先生も私の状態を知っているんだと思う。私が衝動を抑えきれなくなっても、私の体が耐えきれなくなったとしても、私の中に封印されている九尾は解放される。だからその前に私から九尾の封印場所を移す。そのためには私の死が前提条件になっている。


私は里のためにとか、そういう理由で命をかけられる程里に愛着は無いけれど、先生が大切にしているもののためなら命を捨てられる。


「ナルト、」


先生の優しい声色に泣きそうになる。私の死を先生が悼んでくれるというだけで、私の人生は意味のあるものだったと思えるから。私は先生に向かって微笑んだ。先生、大好きです。先生が私を救ってくれた時から貴方は私の世界でした。心の中で言った言葉は誰にも届かせないで、私が持っていく唯一のもの。


「大丈夫です。一思いにお願いします」


私がそう言うと、先生は優しく、それでも的確に急所を凶器で貫いた。そしてそのまま私をだきしめる。


「ねえ、せんせ。私は…せんせの、自慢の生徒に、なれた、かな?」

「あぁ、お前はオレの誇りだよ」



その言葉を最後に私の意識は暗転した。冷たくなる私の体に反して先生はずっと暖かかった。











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一応ネタ帳にあるナルト成り代わ主。タイトルは某曲から
2012/07/03
 

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