携帯獣
□にちじょう
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「また負けた…」
あの敗戦から何日かたって、わたしはトキワジムに再挑戦した。結果はまた、わたしの負け…
「この俺がそう簡単にまけるかよ」
にやりと笑いながらいうグリーンはイライラするし、悔しいけど、本当にそう。今のままじゃ、わたしはかなわない。
攻撃の組み立てとか、タイミングとかそういうのの能力がまだ、わたしはグリーンに及ばない。だから勝てない。グリーンにも勝てなかったら、あの人にはまだ勝てない。
「また、くる」
そう言ってわたしは踵を返した
わたしは勝つまで絶対に諦めない。絶対に…
「あいつ、やっぱり面白いな…」
「さっきの子ですか?」
「アイツはもっと強くなる」
このジムにくる大抵の人間は、二、三回負けると諦めるのが多い。ただアイツは、多分俺に勝つまで絶対に諦めない。そういう目をしてた。
「リーダー、今でもジムトレは全滅なんですけど…」
傍にいたジムトレの小さな呟きは幸いにも、不敵な笑みを浮かべるリーダーには届かなかった。
2011/04/29