非夢

□愛に気付かない青年
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※フレディはレナ以外と結婚してます。





「ねえちゃん」



庭をいじって居たらしく、ちょこまかと草や土を運ぶレナはオレが声をかけると、笑顔で走り寄ってきた。



「フレディ!?久しぶりねっ」

「ねえちゃんは相変わらずだね。頬に泥がついてる…」

「うそっ!」



あわあわと慌てる様子は、出会った頃から変わらない……浮かべる花の咲くような笑顔も、小さな姿も…






オレとレナがあの修道院で出会ってから20年の歳月が流れた。ヒトにとって長い月日は、当然の如くオレに大きな変化をもたらした。立場的にはその間にオレは正式に大老師に就任したし、肉体的にはレナの身長を追い越した。




「ここ?」

「それで拭ったら他のとこ汚れるって…ほら、こっち来て」


土の付いた袖で顔を拭ったレナを引き寄せ彼女の顔を拭う。



「ありがとう。フレディはもうすっかりお父さんね」

「ねえちゃんが危なっかしいからでしょ!もう少ししっかりしてよ」



ふわふわと笑うレナを軽くからかいながら、久しぶりに感じる居心地のいい空気に自然と笑みが漏れた。



オレは何年か前に決められていた婚約者と結婚した。決められていたからっていって、彼女が好きじゃない訳じゃなかったし、もし愛して無かったとしても元々オーゼンナートの血筋を絶やさないための結婚だったから、オレと彼女の間に子供ができるのは当然だった。




出会った頃と同じ純粋な少女のままのレナと違い、もうすっかり大人になったオレだけど、レナを『ねえちゃん』っと呼ぶのは止められない…






オレがレナを『ねえちゃん』と呼ぶのを止めたら、きっと何かが崩れて、壊れてしまう気がして…













***
恋した姿のまま残ってるってつらいと思う
 

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