詩 其の壱

□残り香
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顔を埋めた袖の中
君の香りが鼻をかすめた
胸を締めるような想いは
誰に知らせればいいのだろう

嘘みたいなほんの一時
あたしは君の腕の中
互いに好き合っていたならと
そっと願ってみたりして

見つめた君の目に映るのは
一体どんな人なのだろう
あたしは誰の代わりなのか
優しく触れる指先が憎い

顔を埋めた袖の中
君の香りが鼻をかすめた
伝えることなど出来るだろうか
そっと呟く密かな想い

夢みたいなほんの一時
あたしは君の腕の中
あたしがあたしであるようにと
目を閉じ何かに祈ったの

見つめた君が心寄せるのは
一体どんな人なのだろう
いつかあたしであるように
誰かをその手で触れないで

顔を埋めた袖の中
君の香りが鼻をかすめた
逃れられる日は来るのだろうか
あたしを捉え離さぬ残り香
 

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