詩 其の壱

□桜
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降りしきる雨が視界を埋める
肌を伝った冷たい雨粒
それが雨か涙なのかは
今は誰も問題にしない

今年の桜が散ってゆく
雨に打たれて風に吹かれて
昨日見たここら一面の花は
雨水に紛れ流れてく

ここにあなたを連れて来れたなら
この道を二人で歩きたかった

青空の下の桜並木
優しく舞う花びらの中を
立つことすらなく春は過ぎてく
散るな桜よ 雨に濡れても

降りしきる雨が心を濡らす
頬を伝った密かな涙
それが雨でも涙であっても
きっとあなたは知るはずもない

今年の桜が散ってゆく
あたしは何も伝えてないのに
あなたの知らない桜の花は
ここで密かに流れてく

あたしに少しの勇気があったなら
あなたをここへ誘えただろうか

青空の下の桜並木
優しく舞う花びらの中を
立つことすらなく春は過ぎてく
散るな桜よ 雨に濡れても

散るな桜よ 日の当たるまで

 

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