オリジナル小説

□夢捕獲者(トロイメイハンター)
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『よっととと…』
影が揺れる。
『ふぅ。もうこれであとは扉に入れるだけ、かぁ。簡単だったね?』
その影の主は、少女だった。
腰まで伸びたハニーゴールドの髪は光り輝いていた。
瞳は澄んだ緑で、手には先に時計がついた杖を持っている。
すると、少女の肩からひょこっと何かが顔を出した。
小さく、その姿はまるで…兎と猫と狐をたした様な動物だった。
『何?ヘヴン。…はいはい、早く帰りますよ。』
少女はそういい、【ヘヴン】といった動物の頭をくしゃくしゃとなでた。
『きぃー。』
ヘヴンはそう鳴くと、服の中へ潜り込んで行った。
『これ持って、早く帰るか。』
そういうと、少女の足から翼が生え、少女の体は宙に浮いた。
しばらく飛んで、着いた先は、空色をした綺麗な大きな扉。
そこでヘヴンがさっき少女が持った物をくわえて、少女の前に跳んで行った。
『あ、ちょ、ヘヴンー!まだこっち準備が…!!…
もうっ!やるよ!』
そういうと、杖を前に持つ。
≪我夢捕獲者【珠有】が命じる。この夢(トロイメイ)を過去から現実に。現の扉よ開け≫
そう言うと、目の前にあった扉は、ギギィィィィィと音を立て、開いた。扉の中は、何個も扉が続いていたが、どこまで続いているのか分からなかった。
そこにヘヴンがくわえていたものを投げると、すぅーっと入っていた。そして、見えなくなると、扉はまたギィィィィィィと音をたて、閉まって行った。最後に、カシャン。と鍵の掛かる音まで聞こえた。
『ふぁぁぁぁー。疲れたぁ。でも、これで依頼終了♪』
『キィ。』
珠有は肩の力を抜くと、またヘヴンの頭をくしゃくしゃとなでながら言った。
『ここもいいなぁ。この人は、今までで一番綺麗なところだね。』
『キィー。』
『あっはっは。ヘヴンもそう思うでしょ?』
『キィー!!』
『え…時間…?………!!やばいっっ!時間がなくなっちゃう!』
そういうと、少女は高いところへ消えて行った。
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