OSOMATSUSAN

□精神崩壊シンドロームボーイ-Light-
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貴方の事はオレが一番知ってるんです


貴方が好きな食べ物や好きな香りも


好きな映画も好きな場所も


オレが大好きなのと同じ・・・


誰にも貴方を渡したくないんです


だから何処にも行かないで・・・





【 精神崩壊シンドロームボーイ-Light-】






三月の半ば寒さが落ち着き風が少し暖かい、チョロ松は温もりが残る湯のみを撫でながら冷めたお茶を飲む。


「調書を読んでいるとなかなか温かい間には飲み終える事は難しいな」
「どうぞ」


温かく湯気が昇るのを見てチョロ松はその湯のみを撫で口をつけた。


「忙しいのにありがとう」
「いえ、オレがチョロ松警部に淹れてあげたかったんです」


お茶を淹れたのは鑑識官の十四松。


鑑定結果を持って来たついでだからとチョロ松にお茶をいれたらしい、十四松もカップにお茶を淹れ飲む。


「まだまだお茶が美味しい季節だね」
「まだ寒いですよね」
「十四松くん風邪ひかないように気をつけてね」
「チョロ松警部も気をつけていてください」


十四松は必ずチョロ松の隣に座る、どんなに席が空いていようとチョロ松から離れようとはしない。


薄々気付いてはいたがここまでとはとチョロ松も少し驚いていた、十四松の事は前々から気に入っていたし懐かれるのは悪い気がしない。


だからチョロ松も十四松に注意することはしなかった。


「あぁ、十四松くん最近新しい子達が鑑識課に入ったそうだがどうかね?」
「まぁ真面目と言えば真面目ですが、どれだけ続くか時間の問題ですよ」


鑑識官は警部や警部補より真っ先に現場に入り遺体の状態の確認と犯人に繋がる証拠品を見つけなければならない、事件によっては嘔吐を招くグロテクスな遺体とも遭遇する。


そのせいか十四松以外の若手鑑識官は精神的そして不眠不休の肉体労働に耐えれず体調を壊し鑑識課から他の課への移動したり警察官を辞める者もいた。


十四松はそれを見る度に『 コイツらは何の覚悟を持って警察官になったんだよ?』と呆れている。


チョロ松は十四松だけ何故あのグロテクスなモノを見ているのに平気なのかいつも気になっていた。


聞いても『 そんな事で食欲なくしてたら鑑識官なんて務まりません』と返すばかり。


確かに自分も同じだと思った、同僚の一松も警部補時代はグロテクスな遺体を見てトイレで嘔吐し食事出来ずその日から2日は寝込んだ。


十四松と自分はきっと同じなのかもしれないとチョロ松は嬉しくもありその反面不安もある。


「私達はきっと似ているのかもしれないね・・・」
「本当ですか?チョロ松警部と似てるって言われて嬉しいです!」
「そうか」


十四松はチョロ松がお茶を飲むのを嬉しそうに見ていた。


「チョロ松警部」
「ん?」
「明日お休みですよね?」
「あぁ、そうだが」


チョロ松がそう答えると十四松は更に笑顔で言う。


「一日中オレと一緒に居てくれませんか?」
「一日中って同棲してるんだから一緒じゃないのか?」
「そうじゃなくて一日だけ貴方を束縛したいんです」


チョロ松はやはりそう来たかと内心思いながら十四松の機嫌を損ねないように他の話題を入れて答えを濁した。


「水族館のチケットを貰ったから一緒に行かないか?」
「でもその水族館のチケット期限が切れてますよ?それに日付去年の12月31日までになってますし」
「じゃあ・・・」
「チョロ松警部オレと二人きりになるの怖いですか?」


十四松の言葉に少し驚きチョロ松は首を横に振る、そして今思いつく言葉をかき集め口を開いた。


「違う、最近君とデートしてないし一緒にどこか遊びに行きたい・・・そう思っただけ」
「そうだったんですか・・・疑ってすみません、でもオレはチョロ松警部と二人で居たいんです」
「・・・・・」


そして十四松はチョロ松が拒絶出来ない言葉を口にする。


「一晩中チョロ松警部を愛したいです」


チョロ松はもう逃げ場を奪われただ頷いた。





精神崩壊シンドロームボーイ-Light-
(まだ始まったばかり・・・骨の髄まで愛してあげます)



なんとか序章が書けました。

いよいよ本編『 精神崩壊シンドロームボーイ-Under-』へと取りかかります。

※内容的に『 精神崩壊シンドロームボーイ-Under-』はR-18となりますので未成年の方は閲覧出来ません。
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