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□第一章
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池袋駅ホーム、その前で彼−竜ヶ峰帝人は待ちぼうけをくらっていた。
帝人は池袋から程遠い町からここへ始めてやって来た。
だから右も左もわからない帝人は、友人の紀田正臣に池袋という街を案内してもらう為、彼を待っているのだ。
さすがに立つのも疲れ、支柱を背もたれにしてその場に座り込む。
「もー。紀田くんおっそいなぁ。何時になったら来るんだよ、もう!」
そんな文句を垂れていると、ふと何処からか声が聞こえた。
「ちょいちょい。そこの少年。誰をお待ちかな?」
「え?えと…」
帝人は辺りを見回す。
すると、支柱の反対側からひょっこり金髪の少年が顔を出し、此方を伺っている。

帝人がオロオロしていると、先に金髪の少年が口を開き、
「もしかして、君の待っている人物って…一、紀田正臣。二、紀田正臣。三、紀田正臣。この選択肢の中にいるんじゃないかな?」
そういうとウインクを一つ。

それを聞いた帝人は驚愕する。
何故自分が待っている人の名前をこの人は知っているんだ…!と。
そして、帝人は混乱する思考回路で一つの答えを導き出し、結論を述べる。

「まっ…まさか…!お前−紀田くんを誘拐したのか!!」
一瞬世界が凍りついた。
目の前の金髪の少年−紀田正臣も呆れたように溜め息をつく。

「なーんでお前の思考回路はいっつもそうなんだよ。俺が、お前の待ってる人物。紀田正臣」
ビシッとポーズを決める。
「へ…?紀田…くん?」
正臣の言葉に、ポカーンと魂の抜けたように立ったまま動かなくなる帝人。
正臣はとりあえず揺さぶってみるが動かない。
「おーい、帝人ー。大丈夫かー?みーかーどー」




−こうして、竜ヶ峰帝人の池袋ライフがスタートしたのであった。
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