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□僕の誕生日会
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−今日は僕の誕生日だった。

寒空の下、公園のベンチで一人星を眺める。

家に帰ったら、美味しい料理準備して待ってくれてる君がいるかな。


だけど−
喧嘩した手前、易々と帰るのもなぁ…。
家に入った瞬間フォークとか投げつけられたりしてさ。
はは…。

……あれ?
ふと思う。
あの娘ってそんなにヒドい娘だったっけ?
違うよなぁ…。

ヒドいのは僕で、一人で勝手に家を飛び出してさ…。
…何やってんだ。
早く帰って謝ろう。

あ、そうだ。ミクが好きな肉まん買って帰ろうか。


君が祝ってくれる誕生日なら、どんな誕生日でも幸せだよ


よし、帰るぞと僕はその場から立ち上がる。
肉まんだけじゃあれかな?
おでんも追加しよう。
そんなことを考えてふと上を見上げると、僕の目に遠くの空から黒い煙りが立ちこめるのが見えた。
なんだ…?
火事?
思考がぐるぐる巡る廻る。
向こうには何がアル?


僕は勢いよく公園から飛び出す。だってあっちの方向は…あっちの方向には…!
−ダメだダメだ、考えるな。
杞憂だったらいいんだ。むしろ杞憂であってくれ!

そんな願いなど、誰にも届かない。
とりあえず呼吸を乱しながら走った。
もし『そう』であっても、今なら間に合うかもしれない。
ミク…!どうか無事で…。
 
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