復活!長編

□避けられない事象
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…――10月10日。



いつもと変わらない授業中の屋上。
ただ朝一番に此処へ来たのは久し振りだ。
秋晴れの空の下、日陰に寝転がれば心地好い眠気に誘われる。

睡魔さんお友達になろうぜー。
あたしを楽しい夢の世界へ連れていっておくれよ。

あたしの意思とは関係なく、睡魔さんは何時だってフレンドリーだ。
早くも目を開けていることが難しい。
夢の世界は目前だった。


「も、寝る……おやす、みぃ…」

そんな宣言を誰に言うでもなく呟きゆっくりと目を閉じた。

その直後。




うわぁぁあぁあああん…!



校舎を震度弱の勢いで揺るがすような、そう錯覚させるような大きな音が響いてきた。
…いや、泣き声だ。
眠気は一瞬で吹き飛びあたしは反射的に体を起こしていた。


心臓バクバクしてら。
声は既に止んだ若しくは屋上には届かない声量にまで下がったかで聞こえないのだが再度寝付くことはできそうもなかった。

(…威嚇射撃の時といい、寿命縮むんじゃあ…;)


「…………ふぅ。起きたもんはしょーがない。戻るか、教室」

サボりが頻繁だからといって別に馴染めない訳ではないのである。
寧ろ先生達はサボりが多い割に小テストの点数が良いあたしを褒めてくれていた。勿論、注意も受けるが。

友人もクラスメイトも、隣席の風車被害の事があるからか存外寛大に見送ってくれる為つい甘えてしまっている現状だ。

義務教育中であることを考えれば良くない傾向だろう、と理解はしている。
しかし習慣になりつつあるこれはキッカケ無しにはなかなか抜けられないのだった。

今回の件はそのキッカケと言えよう。


大きく伸びをして一呼吸入れてから、秋晴れの空を背にあたしは屋上を出た。









と、これが間違いだったのだ。
 
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