☆NOVELS (REBORN!)
□プレイボール
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「ちょっ…離せ!野球バカ!!」
「だって離したら獄寺逃げるじゃん」
逃げられたら、もともこもない。
なぜか今日は朝から不機嫌丸出しの獄寺。
正確にいうと、昨日の他校との野球の試合に応援に来てもらった時から不機嫌だったんだけど。
(そんなに嫌なら見に来なきゃいいのに。
…なんて、こんなこと言ったら余計不機嫌になっちまうから言わないけど)
朝ツナん家で会った時から、部活が終わって、先に帰ってしまった獄寺ん家に乗り込んで、ソファに座ってボケーっとテレビを眺めてた獄寺を押し倒して拘束する今の今まで、今日は一言も口をきいちゃくれなかった。
理由は、なんとなく、だけど、分かる。
「昨日の試合で女子たちに応援されてたのが嫌だったの?」
「…ウルセー」
「それとも今日教室で女子たちに囲まれてたのが嫌だった?」
「ウルセー!」
ウルセーって喚きながら、オレに両腕押さえられてる獄寺が、必死にもがく。
でも、上からのしかかってるオレの方が、体勢的にも、体格的にも有利な訳で。
何よりも、オレ、バカだから、言ってくんなきゃわかんない。
っていうかさ。
「応援されてるのに、無視するわけにはいかないだろ?」
「…いちいち手ぇ振り返すこたねぇだろ」
「今日だって、オレ、好きで囲まれた訳じゃねぇもん」
「…だったらいちいち相手にしてんじゃねぇよ」
ああ言えばこう言う。
頭いい分、ゴクデラって扱いがメンドクサイ。
「じゃあ、オレにどうしろってんだよ」
「じゃあ、お前は誰が好きなんだよ」
疑問に疑問で返される。
…一体何がそんなにお気に召さないのか、このワガママ姫は。
今日のゴクデラ、マジでめんどくさい。
「ゴクデラが一番好きに決まってんだろー」
「じゃあオレ以外のヤツなんか相手にすんじゃねぇ!」
…え?
今なんて言ったの?
言われ慣れてない言葉に、獄寺の顔をギョウシしたら、どんどん顔が朱くなっていって…
「…ゴクデラ??」
「ウッセー!ジロジロ見てンじゃねーよ!!」
さっきよりも必死に、オレの下から脱け出そうと、もがきだす。
あ、なんだ。
そういうことな。
「つまりは、オレが周りにチヤホヤされて、ヤキモチやいてたのな」
「テメェ…何をどう考えたらそんな答えにたどり着くンだよ…!」
なんだなんだ、そっか。
「まぁまぁ、何があってもオレ、獄寺以外のヤツになびかねぇし」
「っつーかマジ離しやがれ…!」
「ヤダ」
ベロリ、と獄寺の耳を舐めあげたら、「ひゃあ…!」なんて、可愛い声がもれて。
ヤバい。
そんな声聞いちゃったら、オレ、元気出ちゃった。
「…っつーかテメェ、変なこと考えてンじゃねぇだろうな…!?」
「変なことって?」
「テメ…ッ!おぞましいモン押し付けンじゃねぇよ!!」
「なぁなぁ、ゴクデラ」
元気が出てきた自身を、獄寺にも分かるように擦り付けて。
顔を真っ赤にして、目を涙でうるませてる獄寺にむかって、周りにも定評のある、ご自慢の満面の笑みをひとつ。
「オレたちも、プレイボールしよ」
END
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☆…何を思ったのか1時間くらいケータイカチカチして出来上がったよく分からないもの…
プレイボール=始まりの合図です(笑)
ここまで読んで頂きありがとうございました!!
2008*11*10 月神 聖冀