☆山獄11お題

□二人色に染めるシロ、クロ
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仕事が終わって家に帰ると真っ先にシャワールームへ向かう。


もう着れそうにない黒いスーツたちを脱ぎ捨て、浴室へと入り、コックをひねる。

勢いよくとびだすほどよい温かな湯に頭からうたれながら、何かを必死で洗い流そうとするが、それはかなわない。


今までだって、それをおとすことなどできなかった。





何年経っても、

とれだけ時が流れても、

忘れることのない感覚。







さっきまで握っていた刀の、


その刀で斬りつけていたものの感触が、


あのなんとも言い難い感覚は一生忘れることはない―――。








まだ何も知らなかった中学の頃は炎天下の中バット握って白球追いかけて、勉強に部活に遊びに…
それなりに普通の中学生活を送っていた。


なのに…


一体いつからこんなことになってしまったのか。



マフィア抗争と殺し合いの中に身を投じ、使っている武器柄、自然と前衛に立つことになる。

それでもまだ、愛しい恋人の前に立てるだけマシだとは思う。


辺り一面真っ赤に染まり死体が転がる、あの血生臭いなんともいえない光景を、前衛で目の当たりにさせることはしたくない。

いつも強がって意地をはるクセに、ホントは誰よりも純粋で優しい心の持ち主だから。


オレの恋人である、獄寺隼人という人は――…










…――と……山本!」





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