☆山獄11お題
□くうで言える番号
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今日でもう何日目だろうか。
山本が任務に行って、電話をよこさなくなって。
今回は2週間ほどの任務だから、毎日電話するから。
そう言ってたクセに、それも四日目からぱったりとなくなった。
三日坊主とはよく言ったもんだ。
もちろん遊びに行ってるんじゃないのは分かってる。
ヘマをすれば命をおとしかねないってことも。
だけど、あいつが簡単にそんなヘマしないって信じてるし、あいつはオレにベタ惚れだから、今までの任務からしても電話をしてこないなんてないだろうし…。
今日でもう何日目だろうか。
あいつが、
山本が任務に行って、
会えなくて、
電話もよこさなくなって、
声も聞けなくなって、
寂しくて…。
ジャケットの内ポケットからケータイを取り出し、フラップ式のそれを開いて画面を確認する。
何度確認しても、着信も、メールの受信もない。
そのまま指が自然と11桁の数字の打ち込む。
山本がケータイを持ってから数年。
アドレス帳にも登録してるのに、すっかり覚えてしまった番号。
仕事以外でオレからかけることなんて無いに等しくて、発信ボタンを押すことはできなくて。
その数字の羅列を見つめたまま、あいつがケガとかを負ってなければいいと祈る。
ふと突然、手の中のケータイがふるえだした。
画面を確認して、相手を確認して。
まず最初に何から怒ろうか考えながら、通話ボタンを押してケータイを耳にあてた。
end
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会えなくて、声も聞けなくて、寂しくて、辛い想いをしてるのは一人じゃないんだよってこと。