☆山獄11お題

□子供の頃に戻って人生やりなおす?
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「…一緒に住む時に挨拶は必ずするって約束だっただろ?」


自分でもガキくさいって分かってるけど、でもなんか悔しくて、隼人の隣には座ることが出来なくて。

少し離れた位置から二人を見下ろしながら隼人に言った。



もちろん分かってる。
これはただの独占欲だと。

今までずっと二人でいたのに、突然その間に割って入ってきたその新たな子猫に、自分が疎外感を感じてるだけだということも充分に分かっているつもりで。

だけど、分かっているけど、なんか悔しいのだ。

こちらも見ずに「はいはい、お帰り」なんて適当にあしらわれて、おまけに瓜を撫でたまま。

そんな隼人を見てたら、自然と口が開いてしまった。



「…オレ…
なんで隼人のこと好きになっちゃったんだろ?」
「………は…?」
「こんなに冷たくあしらわれてもさ、ずっと側にいて」

オレMなのかな?なんて笑いながら隼人に告げれば、瓜を撫でる手を止めて、驚いた顔をしてこっちに視線をなげた。


24年間、今までずっと、そんなことを言ったことなかったから、どう対応していいか分からないんだろうな、なんてのんきに考える。

でも、返ってきたのはまさかの言葉で。


「…だったら別れりゃいいだろ」


そう告げた声は震えてるように感じたけど、まさかそう返ってくるなんて予想してなかった。

なんだか鈍器で頭を殴られたように、頭がクラクラする。
間違いなく今のオレの表情はすごいアホ面なんだろうな。

隼人はふいっと視線を瓜に戻して、止めていた手を再び動かす。

でも。

ここまでくると、オレも変な意地が邪魔をして。
ひくことが出来なかった。

「…そうだな…いっそ子供の頃に戻って人生やりなおす?…ランボに10年バズーカ借りて過去まで行って昔の俺達につきあわねぇほうがいいぜって言ってやりたいよ」


何がオレにここまで言わせるのか。

そんなの分からないけど。


ただ、隼人にオレのこの醜い気持ちを少しでも気付いてほしかっただけなのに。


「…武…?」
「もういいや…話すの疲れた。飯もいい。寝る」
「…武…」


呼び掛けられても返事せず、リビングをでて自分の寝室に逃げ込む。


もちろん、瓜を膝にのせたままの隼人は追ってくることはなく。





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