●捧げもの小説
□<<二コ人さんへ
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寒い冬もすっかり過ぎて
今や、暖かい陽気が降り注ぐ。
「――――アーサーさん。」
「!・・・・菊。」
後ろから声をかけられ、アーサーは振り向いた。
振り向くと、そこには湯呑みがのったお盆を持った菊がいた。
今アーサーは菊の家に来ていて、縁側でのんびりとしている所だ。
「お茶が入りましたよ。今日はアーサーさんが来るので、紅茶にしてみたんですが・・・・・」
そう言って、湯呑みを手渡した。
渡された茶を見ると、確かに紅茶の良い匂いがする。
・・・・湯呑みに紅茶が入ってる・・・という光景は、なんとも不思議だが・・・・。
「じゃあ、冷めないうちに頂くか。・・・・・・・・・」
「・・・・・どう・・・・ですか?」
「・・・・・うん、美味いぞ!」
「・・・ほ・・・本当ですか?・・・良かった・・・・・お湯の温度とか、色々と気使ってみたので・・・・」
そう言って、菊はほっとしたような顔で微笑んだ。