男主

□そんな日常が
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『沖田たいちょーっ』


「なんでィ藤林か…俺の睡眠を妨げるたァ良い度胸じゃねぇか」


ドタドタと走ってきて勢い良く部屋に入ってきたこの男。名前は藤林といい一番隊の副隊長だ。


『そんな事どうでも良いじゃないっスか!遊びましょうよ』


「いきなり何でィ…勘弁してくれよ母ちゃん今日は日曜だぜィ」


そう言い布団に潜り込むと布団を剥がされた。


『今日は月曜日でーす。さあさあ起きて俺と遊んで下さい』


あまりにも煩いので仕方なく体を起こすと藤林は嬉しそうに笑った。

(俺も甘いねェ…)


「藤林、お前今日非番じゃねェだろィ?土方さんが怒るぜィ」


『勿論副長には内緒ですよ!それに、隊長だって今日は仕事でしょう?俺達共犯ってヤツです』


悪戯に微笑む藤林を見て柄にもなく胸が熱くなった。


「んで、何するんでィ?」


俺が訪ねると藤林は目を細め口角を上げた。


『先ずは…朝食前の運動でもどっスかね?』


実は彼が毎朝俺を誘うのはいつもの事。

つーか毎朝じゃなくて常に。

俺より1つ年下の藤林は昔から年の近い俺にべったりだった。


俺達がデカくなるにつれ気が付けばそういう関係になっていた。


土方さんは密かに藤林に想いを寄せてたみてェだから良い気味だ。(事実を知った時の顔は爆笑もんだった)


『ね、隊長聞いてますかー』


中々反応を示さない俺に痺れを切らしたのか俺の顔を覗き込む藤林。


返事の代わりに俺はその腕を引き押し倒してやった。


『っ…びっくりした…もうちょっと丁寧に扱えないんスか?』


「俺にしちゃ充分過ぎるくらい丁寧でィ」


『ふぅん……総悟、』


名前を呼び俺を引き寄せ抱きつく藤林に思わず顔がニヤけた。


「今日は随分と甘えただねィ」


『たまにはこういう時もあるんですぅー』


顔を赤らめ拗ねたように言う唇に口付けを落とした。


『…唇冷たい』


「なら温めて下せェ」


そう言い俺達はさっきよりも深い口付けを交わした。


―そんな日常が


堪らなく愛おしい



 

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