南に本気
□良いなんて言うとらん
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「あのー、南くん。」
「なんや。」
「そろそろ帰らないとドラマの再放送がですね…」
「そんなんどーでもええねん。あと、そのしゃべり方やめ。キャラやないやろ。」
誰もいなくなった教室。いつもは放課後残ってしゃべってるヤツもおんねんけど、テスト前やから帰ったらしい。ウチも、目の前におるでっかいカリメロも、テスト前やから部活は休み。
そんで、今日。帰ろ思てバッグを握り、教室を出ようとしたとこをカリメロに止められて今みたいなことになってる。あのー、もうかれこれ10分経ってんねんけど?
「なんやねん、引きとめとって。さっきから何も言わんやんか。」
「か、考えてんねん!…何て言おーか。」
と言って何故か照れるでっかいカリメロ。なんや、可愛いやんか。でもな、ウチも暇やないねん。ドラマ見たり、ドラマ見たり、ドラマ見たりせなあかんねん。つーわけで、
「考えてへんかったんかい!したらまた明日でえーやろ?」
帰りまーす、とカバンを持つと『良いなんて言うとらん』と言われ、腕を掴まれ──ウチらの唇が触れた。いやカリメロの唇がウチの唇にすばやく近づいて触れたって言うんが正しいな。そして、今ウチはでっかいカリメロの腕の中。
「あのー、南くん。なんですか、これは…」
「俺の言いたいこと、ここまでしたらわかるやろ!」
カリメロを見上げると、真っ赤になっていた。
照れてるカリメロが可愛いから、ちょっとわからんフリしといたろ。
照れ屋さん
(ウチのツボやねん)
GENTLE LOVE/日向様