黒い猫

「カツン、カツン」
圭吾の足取りは深夜の港町の外れにある酒場
に寂しく響いていた。
「ん?、こんな処にバーなんかあったかなぁ
まぁいいや。飲んで帰るか。」
今日の沈んだ気持ちを癒せればどこでもいい
飲める場所を探していた。
「黒い猫か、なんか不気味な名前のバーだな
ぁ」
静かにドアを開けると非常に妖艶な美人ママ
が微笑んでいた。客は一人もいないみたいだ。
「いらっしゃいませ」
ママの声を聞いた圭吾は「ドキッ」となった。
今日の昼に別れた玲子の声にそっくりだった
からである。
「お一人ですか」
「はぁ、・・ちょっと飲みたくなって」
「それより黒い猫というバーの名前変わって
ますね。」
「もっと変わったお酒があるわよ」
「なんでもいいから、すぐ酔えるお酒下さい」
ママはグラスに氷を2つ浮かべそのお酒を注い
だ。
「お酒の名前はBACK。前金で1000円い
ただきます」

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