黒い猫2

「バーに来て前金で飲むのなんて初めてだな
ぁ」
「まあいいや。じゃあ1000円」
圭吾は静かにBACKという名のお酒を飲ん
だ。
「あれ、このお酒そんなに強くないのにもう
ママの顔が歪むくらいきいちゃった」
圭吾は少し目をつむってカウンターにうずく
まった。
少しして目を開けた瞬間、圭吾は目を疑った。
バーで飲んでいたはずの自分が、昼に行った
はずの喫茶店に座っていたからである。
「どういうことだこれは?」
ふと壁に掛かっている時計をみると正午を指
していた。
「たしか今日の昼に玲子とここで待ち合わせ
て別れ話になったんだよなぁ」
まだ、状況が把握できない圭吾にウエイトレ
スが注文を取りに来た。圭吾は思わず
「あ、あと一人来ますのでもう少し待ってく
ださい」
と口から出てしまった。
今日の昼の場面そっくりだったのと、うまく
いけばもう一度玲子とやり直せるんじゃない
かという期待があったからである。

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