Story
□ウサギとオウム
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「ねぇあんた。
なんでそんな
死にたそうな顔してんの?」
40000Hit記念小説
"ウサギとオウム"
アイツと出会ったのは会社の帰り。残業明けでぼんやりと何時もは通らない夜の繁華街を歩いていた時だった。
繁華街のすぐ隣はホストクラブやキャバクラ、そんな類の店が集まった通りになっている。
昼間は繁華街と裏通りの境目ははっきりしているが、夜になるとその境界線のようなものも歪に、そして曖昧に夜の街に溶け込んでしまう。
俺は世間一般で言う勝ち組だ。いや。まだ未婚だしそうも言えないかもしれないが。
有名大学を卒業
大手の会社に就職、そして出世コースまっしぐら
故に金もある
そして、決して自慢とかではないがモテる。ケバイ女から清楚系なお嬢様タイプまで幅広い。
夜の街はそんな俺の肩書きなんかには関係なく人を引きつけてもてあそぶ。
そう、きっと俺はこの退屈な毎日に飽きてしまっていたんだと思う。でなければ、何故あんな誘いに乗ったりしたんだ。
"ねぇアンタ。なんでそんな死にたそうな顔してんの?"
俺は目の前に立っている、ハニーブロンドを揺らす男を軽く睨んだ。
年は20代前半くらいだろうか。先ほど述べたように、派手なハニーブロンドと少したれた目じり。ヘラヘラとした笑い方が特徴的だ。おそらくこの辺りにの店に所属しているホストだろう。
「…気のせいだろう。」
「そうかなぁ。退屈すぎて死にそうな顔してたよ。」
クスクスと笑いながら男は続ける。